海外旅行に行きたいけど現地でのコミュニケーションが不安で一歩が踏み出せない方も多いのではないでしょうか。パラオはそんな方におすすめな渡航先のひとつです。
パラオは公用語こそ英語とパラオ語ですが、かつて日本に統治された過去もあり、日本との歴史が深い国。その名残で、いまなお日本語を喋るパラオ人は一定数いたり、「おいしい」が「アジダイジョーブ」で通じたりと、じつはパラオ語の中には日本語由来の言葉が多数あるんです。
そこで、この記事ではパラオの公用語をテーマに、日本語由来のパラオ語やパラオ旅行で覚えておくと便利なフレーズをご紹介します。
公用語はパラオ語と英語
パラオの公用語はパラオ語と英語です。第二次世界大戦終戦以降、アメリカ統治が長く続いたため、英語も公用語に加えられたパラオですが、実際にはほとんどのパラオ人は日常でパラオ語を使用しており、英語はどちらかというと第二言語に近い位置付けです。
アメリカ人やイギリス人の英語と異なり、ゆっくりと喋り、スラングなどもあまり使わないため、中学英語が身についていればそれなりに会話ができるかと思います。
じつはパラオ語の20%は日本語由来といわれており、意外にも日本語が通じるため、英語が苦手な方でも他国よりコミュニケーションを取りやすいでしょう。
というのも、1900年代の初頭、約30年に及ぶ日本統治時代が続いたパラオでは、当時日本語教育が行われていました。その後アメリカ統治になることで、日本語教育は撤廃されましたが、およそ600単語ほどの日本語が残り、今もパラオで使用されています。
たとえば「おいしい」を「アジダイジョーブ」と言ったり、「ビールを飲む」を「ツカレナオース」などと言います。実際にパラオ人の会話に耳を傾けると、他にも様々な日本語が飛び交っていて聞いてて思わずニヤケてしまいます。
パラオ人はどの言葉が日本語由来のものなのかを明確には理解していないため、この言葉は日本語由来だよと教えると「知らなかった」と驚くこともありました。それほど日本語が自然に溶け込んでいるのです。
日本統治を経験したパラオ人の多くは現在も流暢な日本語を喋る人が多く、若い人の中にもカタコトの日本語が喋れる人がいます。これはパラオ人が今もなお、親日感情が強いということと、数年前まで日本人観光客が非常に多かったことが理由だと考えられます。
パラオのアンガウル州は日本語が公用語
ペリリュー島の南にあるアンガウル島では、アンガウル州憲法にパラオ語と英語に加えてなんと日本語が公用語として制定されています。
1914年頃から、パラオは日本の統治下にあり、多くの日本人がパラオに移住しました。
第二次世界大戦における日本の降伏とともに、日本統治は終了。パラオに住む日本人の大部分は、帰還を余儀なくされましたが、唯一アンガウル州でのみ、一部の日本人が残り居住を続けます。
その後、アメリカ統治下となったパラオですが、アンガウル州では、それ以降も日本語が共通言語としての役割を果たしていました。
1980年頃、現在のアンガウル州憲法が制定されます。このとき、日本語が公用語として採用されました。現在では、日常会話として日本語を話す住民は減ってしまいましたが、憲法には象徴的なものとしてその記述が残されています。
日本国憲法には日本語を公用語と制定していないため、世界で唯一日本語が公用語に選ばれているのがアンウガウル島になるのです。
パラオ旅行で便利!かんたんなパラオ語を覚えよう
5日間滞在した筆者の経験から英語が通じなかったことは一度もありませんでした。またパラオ語は人口の70%を占めるパラオ人には確実に通じるものの、残りのパラオ在住外国人にはほとんど通じませんでした。体感としては、日本語を流暢に喋れる人が約5%、カタコトで喋れる人が20%ほどだったと思います。
パラオ滞在中は基本英語でコミュニケーションをとり、かんたんな言葉や日本語由来のパラオ語を積極的に使っていました。日本でも、旅行中の外国人から日本語で挨拶されるとうれしいように、旅先では相手の言語を使用するようにしています。
ほとんどの状況では英語が通じるので基礎英語を押さえていればコミュニケーションにこまることはないでしょう。しかし、せっかくパラオに訪れたなら、パラオ語のかんたんな単語や定番フレーズを覚えておくと、現地の人とコミュニケーションもとりやすく、ささいな事から会話が生まれることもあります。
基本的なパラオ語
こんにちは
- 英語:Hello
- パラオ語:Ali(アリー)
こんばんは
- 英語:Good evening
- パラオ語:Ungil kebesengei (ウキル カブスイゲイ)
お元気ですか
- 英語:How are you?
- パラオ語:Ke ua ngeaing?(クアガラン)
ありがとう
- 英語:Thank you
- パラオ語:Me sulan (メー スーラン)
すみません
- 英語:Excuse me
- パラオ語:男性に言う場合 Ollei (オレイ)
:女性に言う場合 Ea kau (イアカウ)
はい
- 英語:Yes
- パラオ語:Choi,o’o(オオイ)
いいえ
- 英語:No
- パラオ語:Ng diak (ディ アック)
観光でも使えるパラオ語
〜(固形物)をください
- 英語:Can I have a~
- パラオ語:~Me tara (メッタラ)
〜はありますか
- 英語:Is there~ ?
- パラオ語:Ngarugii~?(ガルギイ~)
食べる
- 英語:eat
- パラオ語:Mengang(モグル)
おいしい
- 英語:delicious
- パラオ語:Aji daijobu (アジダイジョーブ)
乾杯!
- 英語:Cheers
- パラオ語:ショウトーツ
日本人がコミュニケーションを取りやすい国パラオ
5日間の滞在で分かったことは、日本人にとってパラオは非常にコミュニケーションが取りやすい国ということ。英語に不慣れな私たちでも聴きやすい英語を話してくれるうえ、日本語を話す人が一定数います。そうでない人もパラオ語の約20%が日本語由来のため、単語をうまく使えばなんとか意思の疎通ができます。
そしてなによりパラオは世界随一の親日国家であるため、私たちが日本人だと分かるととても親切に接してくれます。コミュニケーションが心配で渡航を悩んでいる方や、海外旅行初心者の方も安心して旅行できる国といえるでしょう。
遠く離れた地パラオで、パラオ人と日本語で会話ができるというのはとても不思議な体験です。きっと忘れられないユニークな思い出になることまちがいなしです。
(文・写真協力:片岡力也)
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