日本から南に3,000km離れたところに位置するパラオ。日本との時差はなく、美しい海に囲まれシュノーケリングやダイビングをはじめとする様々なマリンアクティビティを楽しむことができます。
パラオは日本からの観光客も多いリゾート地ですが、旅行前には物価事情について詳しくチェックしておきたいものです。海外旅行を検討している人にとって、その土地の物価の知識はとても大切な情報ですよね。
ここでは、パラオの物価事情の概要から、食費・交通費・宿泊費・アクティビティ・お土産代といった、旅行で必要不可欠なパラオのお金事情についてまで、詳しく解説しています。
※記事内1ドル=108円で計算しています。
パラオの物価はどれくらい?
パラオには独自の通貨は存在しておらず、アメリカからの経済援助により、アメリカ通貨のUSドルが主に使用されています。
通貨単位は米ドルとセント。紙幣の種類は、1、5、10、20、50、100ドルが主に使用され、硬貨の種類としては、1、5、10、25セントが流通しています。
気になる物価ですが、冒頭でお伝えした通り、日本と大きな違いがありません。参考までに「ミネラルウォーター」「Tシャツ」「レストランでの食事」にかかる金額を見ていきましょう。
- ミネラルウォーター:約1ドル(約108円)
- Tシャツ:約10ドル(約1,080円)
- レストランでの食事(1食あたり):約10USドル〜15USドル(約1,080円〜1,620円)
おおよそ日本で買い物や食事を楽しむのと変わらない物価と言えます。
パラオの物価がさほど安くない理由として、パラオの物流が関係しています。
食料品や日用品など生活に必要な物をほとんど輸入に頼っている現状があります。日本やアメリカ、台湾などからの無償援助や食料品輸入をメインにしており、他国に頼らないと自国では物資の調達が難しいのです。
それ以外にも建設業の援助を受けており、労働力に至ってはほとんどが外国人に依存している状況で、人件費に使われるお金も莫大です。
そのため、同じくリゾート地が多い東南アジアと比べてもパラオの物価は安くありません。島国で太平洋に孤立している島であるため、輸送費が高くなってしまう仕方のない事情があるためです。
また、パラオは物価の割に現地で働く方の平均月収が低く、日本の平均の約3分の1と言われています。悲しくも、物価と給料に差があるというのがパラオの現状なのです。
パラオの税金事情
パラオと日本で大きく異なる点は、パラオでの買い物には消費税がかかりません。そのため旅行者の中には日本と比べると若干、物価が安く感じる方もいるようです。
ただし、ホテルの宿泊料金に関しては「ホテル税(12%)」、レストランの食事に関しては「サービス税(7%)」が課税されます。(2020年3月現在)
また有名な観光スポットであるロックアイランドでダイビングをする際やジェリフィッシュレイクを訪れる際には、許可証として50ドル〜100ドル程度払う必要があります。
パラオ通貨の両替は出発前がおすすめ
パラオ旅行で使用するお金に関しては、出発前に日本で事前に両替を済ませておくことをおすすめします。日本での両替はお近くの銀行や空港、旅行代理店などで行うことができます。店舗やインターネットで申し込みすることで、自宅に届けてくれる「外貨宅配サービス」を利用すると便利です。
パラオ現地で両替をする場合は、パラオ最大の都市コロール島にあるグアム銀行やWCTCショッピングセンターを利用することができます。しかし、レートはあまり良くないため、もしもの時に使う程度がちょうどいいでしょう。
パラオ国内でのクレジットカードの利用について
パラオは観光地のため、クレジットカードは基本的にどこの場所でも使うことができます。特にホテルやショッピングモールが集まるコロール周辺では、クレジットカードのみで観光を楽しめるでしょう。
クレジットカードを1枚持っておくと、多額の現金を持つ必要がありません。パラオは治安がよく安全と言われていますが、スリや強盗が全くないという訳ではないので、クレジットカードは持っておくと安心です。パラオで利用可能なクレジットカードは、おもにVISA、MASTER、JCB、DINERSの4種類で、AMEXは利用できないため注意が必要です。
ただし、バベルダオブ島の一部など地元のローカル食堂や小売店、タクシーなどでは、クレジットカードが使えない場合があるため、1、5、10、20ドルといった細かい紙幣もあわせて持っておくと便利です。
パラオの物価で、旅行中にかかる費用はどれくらい?
日本とあまり物価が変わらないと言われているパラオですが、実際にいくらくらいなのか調査してみました。
日本の統治下にあったパラオは、パラオ語になった日本語や、スーパーにも輸入された日本食材が多く並んでいるなど、日本との関係性が色濃く残っています。そのため、日本で暮らしている物価の感覚で買い物や食事を楽しむと、感覚のズレも生まれにくいかもしれません。
滞在中にかかる費用項目ごとに、物価の違いを見ていきましょう。
食費
- 1食当たりの相場・・・約10USドル〜15USドル(約1080円〜1,620円)
- ビール1本当たりの相場・・・約1USドル〜2USドル(約108円〜216円)
パラオのレストランは日本よりも少し割高で、ランチは約15USドル(約1,620円)の値段が掛かります。ローカルな料理が楽しめる現地民御用達のレストランでも、約10USドル程度(約1,080円)の値段で、やはり日本よりも高めな印象を受けます。立派なコース料理になると一人約100USドル(約10,800円)を超える場合もあります。
アルコールに関しても、パラオの缶ビールは約1〜1.5USドル(約108円〜162円)で、日本の缶ビールと同等の値段設定です。パラオ産の名物ビールであるレッドルースターは約2USドル(約216円)で通常の缶ビールよりも割高となっています。
旅費の中でも食費の割合は多くを占めますが、食費を節約するには少し工夫が必要といえます。現地のスーパーでは日本の食材も多いため、お惣菜を食べたりかんたんな調理をするなど検討してみましょう。「ガーデン・パレス」などキッチン付きのホテルもあります。
なお、コロールの中心街を離れるとレストランやホテル内の食事はやや高くなり、中心街のスーパーや現地民が使用するレストランで食事を済ませた方が食費を抑えられます。綺麗な海沿いの景色が広がりますが、観光客向けのレストランは軒並み値段設定が高めであることを念頭に入れておきましょう。
交通費
- タクシー料金の相場・・・約5〜7USドル(約540円〜756円)
※夜間は10USドル(約1,080円)が加算 - レンタカー料金の相場・・・約40USドル(約4,320円)
パラオには公共のバスや電車が通っていないため、主な交通手段はタクシーかレンタカーになります。タクシー料金はコロール市内であれば約5〜7USドル(約540円〜756円)が平均の値段で、空港からコロール市内までは平均20USドル(約2,160円)ほどです。
日本と同じく夜間料金も発生します。22時以降は通常の金額に10USドル(約1,080円)が、夜間料金として加算される点には注意が必要です。
日本をはじめほとんどの国ではメーター制を採用をしていますが、パラオのタクシーにはメーターがなく、目的地を告げて事前に値段を交渉します。ぼったくりの値段を提示してくるドライバーは少ないですが、割高な料金を支払わないためにも、相場を把握しておきましょう。
レンタカーを使用する場合、パラオでは30日以内の滞在に限り、日本の免許証を持って申請を行えばパラオでも運転ができます。
料金相場は1日あたり約40USドル(約4,320円)で、日本で借りられるレンタカーとあまり変わりません。タクシーよりも自由に行動できるため、時間を気にする方には便利な手段です。自分のタイミングで好きに観光できるのがとても嬉しいですよね・・!
パラオのレンタカーを手配する場合の会社から交通ルールまで下記の記事にまとめました。
こちらもぜひお読み下さい。
ホテル、宿泊代
- 高級リゾートホテルの1泊の相場・・・約250〜500USドル(約27,000円〜54,000円)
- 中堅リゾートの1泊の相場・・・約100〜250USドル(約1,080円〜27,000円)
- 格安ゲストハウスの1泊の相場・・・約100USドルを下回る(約1,080円以下)
パラオには高級ホテルから格安のゲストハウスまで、さまざまな形態のホテルが揃っています。シーズンや状況によって値段は変化しますが、日本とは異なり1泊1部屋の料金が適用されて、人数ごとに料金が掛かるわけではありません。
「パラオ パシフィック リゾート」や「パラオ・ロイヤル・リゾート」などの高級ホテルの相場は、1泊1部屋でおよそ250〜500USドル(約27,000円〜54,000円)。海に面し、プライベートビーチやスパなどが備わった格式あるリゾートホテルが主流です。景色や南国の雰囲気をホテルでも楽しみたい方におすすめです。
「パラオキャロラインリゾート」や、新設の「パラオ・プランテーション・リゾート」などの中堅ホテルは、1泊1部屋でおよそ100〜250USドル(約1,080円〜27,000円)が相場。個性的なホテルも多いため、じっくりと探せば納得のホテルが見つかるはずです。
格安ゲストハウスならば、1泊1部屋で100USドルを下回る価格帯(約1,080円以下)です。とにかくホテル代は節約して他のアクティビティや観光にお金を使いたい方におすすめです。おもに中心地のコロールに集まっており、施設やサービスによって値段はピンきりです。ゲストハウスだからといって不衛生なわけでもないので、ご自身が納得する宿を見つけてみましょう。
観光・アクティビティ代
- ダイビングの相場・・・約80〜150USドル(約8,640円〜16,200円)
- ロックアイランドの相場・・・約100USドル前後(約10,800円前後)
- 遊覧飛行のコースの相場・・・約150〜300USドル(約16,200円〜32,400円)
- マッサージやスパの相場(1時間当たり)・・・約40〜100USドル(約4,320円〜10,800円)
パラオは美しい海が楽しめるダイビングやシュノーケルなどのマリンアクティビティが人気です。
世界トップクラスの海で行うダイビングは、約80〜150USドル(約8,640円〜16,200円)が相場です。ダイビングライセンスがいらない体験コースも充実しており、初めての方にもおすすめのアクティビティです。
パラオの定番スポット・ロックアイランドを周遊するコースは約100USドル前後(約10,800円前後)。人気のミルキーウェイやロングビーチ、ジェリーフィッシュレイクなどさまざまなコースを組み合わせていきます。
セスナに乗って遊覧飛行を楽しむコースは約150〜300USドルほど(約16,200円〜32,400円)で、セブンティアイランドをはじめとしたパラオの海に浮かぶ絶景を空から見下ろせます。
アクティブな遊び以外にマッサージやスパも有名で、格安だと1時間あたりおよそ40〜100USドル(約4,320円〜10,800円)。1日の疲れを癒しに訪れてみてはいかがでしょうか。
現地のツアー会社には日本人や日本語を話せるスタッフも多いため、言語に不安がある方でも安心して遊ぶことができます。ツアーの相談にも乗ってくれるので、お得なパラオツアーを楽しんでみてください。
お土産代
- タピオカクッキーの相場・・・約5USドル(約540円)
- ノニジュースの相場・・・約5USドル(約540円)
- 貝殻形のチョコレートの相場・・・約9USドル(約972円)
パラオのお土産はバラエティに富んでおり、タピオカクッキーやノニジュース、貝殻の形をしたチョコレートなどが人気です。
タピオカクッキーは手作り感もありお土産としても最適で、約5USドル(約540円)で購入できます。荷物としても軽く個包装になっているため、バラマキ用としても重宝します。
ノニジュースはミネラルたっぷりのノニの実を発酵させて作ったジュースで、健康や美容に良いとされています。こちらも約5USドル(約540円)で購入でき、女性へのプレゼントやお土産としておすすめです。
海外旅行の定番品であるチョコレートは、パラオだと南国感のある貝殻の形をしています。1箱約9USドル(約972円)でお手軽にパラオの気分をお土産としておすそ分けできます。
パラオではチップを渡す習慣がない
海外に行くと気になるのが、チップ制度の有無。欧米では当たり前とされていますが、日本人にはあまり馴染みがないため、海外に旅行する際は戸惑ってしまうものです。
そこで、気になるパラオのチップ事情はというと、基本的にチップを渡す習慣はありません。
ただ、親切にしてもらったときの感謝の気持ちとして、チップを渡すことはあります。現地でお世話になったインストラクターやスタッフにチップを渡しても、不快に思われることはないでしょう。
なお、大手の高級ホテルではチップを渡すことが普通となっています。ベルマンやルームキーパー、ルームサービスなどのスタッフにはチップを渡しておいたほうがいいでしょう。チップの目安としては、ベルマンが荷物を運んでくれたら荷物1個につき1ドル(約108円)、ルームキーパーへのピローチップで1ドル(約108円)、ルームサービスを頼んだ場合は料金の1割程度を支払うようにしましょう。
また、チップは小銭で渡すのはマナー的にNGとされています。そのため、買い物をした際は、なるべく1ドル札など小額紙幣を財布に残しておくように準備しておきましょう。
パラオの物価は日本と変わらない点に注意。計画的な準備が大切
観光大国であるパラオの物価は、日本とほとんど変わらないため、旅行の費用を抑えるためには工夫が必要になってきます。事前に予算をある程度把握しておき、計画的に両替を行いましょう。
物価は日本とは変わりませんが、ローカルのレストランやお店を利用したり、地元の食材を使って料理をすれば、食費の節約にもつながります。
とはいえ、あまり窮屈になりすぎず、余裕をもった予算を計画し、ぜひパラオならではの体験を思う存分たのしんでください。
(執筆:蓮池ヒロ)