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マルキョクの観光ガイド|パラオ新首都の歴史や名所、ツアー情報まで

マルキョクの観光ガイド|パラオ新首都の歴史や名所、ツアー情報まで

マルキョク(Melekeok)はバベルダオブ島の中央部東岸に位置するパラオの新首都です。2006年にコロールから首都が移転されてから、パラオの政治的中心として国会議事堂や裁判所、大統領府が建設され、行政・立法・司法の三権が揃いました。

かつてはパラオの各地を地域を代表する酋長(しゅうちょう)が統治していた時代があり、コロールと並んでパラオの二大酋長でした。酋長は現在でも文化的な事業や地域での土地利用などに影響力を持っています。

そのため、マルキョクへの首都移転は伝統的な政治の観点においては経済的中心のコロールと政治的中心のマルキョクという形で両者のバランスを保つという意味がありました。

このようにマルキョクについて知ることで、パラオの歴史がどのように移り変わってきたかを学ぶことができます。パラオ観光は海のツアーやアクティビティが中心ですが、パラオをより楽しむためのマルキョク観光もいかがでしょうか。
※記事内1ドル=108円で計算しています

パラオの新首都・マルキョクとは

マルキョクの国会議事堂

マルキョク(Melekeok)はマルキョク州にあるパラオの首都で、首都移転のために建設された国会議事堂や大統領府などの政府関連施設のほかには、ビーチや学校、カフェや小さな売店などがあります。

マルキョクの人口は400人ほどで、約14,000人(パラオ総人口の約7割)が住むコロールと比較すると小さな街です。

マルキョクの集落周辺の道

マルキョクの家屋

コロール島と、マルキョクがあるバベルダオブ島を繋ぐ「KBブリッジ」の建設と、バベルダオブ島を周回するコンパクトロードの完成によって、コロールからマルキョクまでは車で30分程度で移動できます。

政府関係者の多くはコロールから通勤をしており、マルキョクへの人口移転は起こりませんでした。そのため、国会議事堂エリア以外では今でも大規模な開発はされておらず、海岸部に昔ながらの村落があります。

マルキョクにある小学校

門構えが日本統治時代のまま

コロール島やペリリュー島と同様に、日本統治時代はマルキョクにも日本人が住んでいた名残があります。たとえば、マルキョクにある小学校(幼稚園も併設)の門構えはそのまま利用され、そばには漢字が書かれた消火栓があります。

小学校のそばにある消火栓

マルキョクに首都を移転した歴史

新首都を建築する様子

コロールからマルキョクへの首都移転は、1981年に自治政府である「パラオ共和国」が発足した際に制定された憲法によって「10年以内に首都移転」と定められたのがはじまりです。実際に首都移転が実現したのは2006年なので憲法制定から25年が経過していますが、憲法解釈上では「10年以内に候補地を定める」と捉えられています。

第3代大統領のラザルス・サリー氏をはじめ代々の大統領が首都移転の準備を進めており、クニオ・ナカムラ氏が第5代大統領を務めていた1993年にもマルキョク州からンゲルルムッドと呼ばれる集落の土地が無償提供されたり、アメリカ合衆国から首都移転の資金援助200万USドル(約2.2億円)が実現するなど、準備が整いつつありました。

1998年にはクニオ・ナカムラ大統領の主導で国会議事堂などの建設がはじまり、2001年に完成。その後、首都が実際に機能するためのインフラを整えて、2006年のトミー・レメンゲサウ大統領の就任後にマルキョクへの首都移転が実現しました。

マルキョクの国会議事堂エリア

現在のマルキョクには大統領府(行政庁舎)と国会議事堂、裁判所(司法庁舎)が並び立ち、行政・立法・司法の機能に加えて、パラオの州長議会も開催されています。

マルキョクの観光スポット・見どころ【6選】

マルキョクにあるアバイ

マルキョクの観光は国会議事堂や裁判所などが中心にはなりますが、ほかにもパラオの文化と歴史を学べる「アバイ」という伝統的な集会所やパラオの伝承に登場する「ストーンフェイス」、海を眺めながら食事ができるカフェ「オケミ デリ」などがあります。

すべての観光スポットを巡っても所要時間は1時間程度です。レンタカーで訪れることもできますが、道がわかりにくいうえに、マルキョクアバイやストーンフェイスについては解説の看板などがないため、できれば現地ガイドと同行することをおすすめします。

マルキョクの見どころをご紹介しましょう。

1.国会議事堂

国会議事堂の外観

台湾からの援助を示す

マルキョクにある国会議事堂はアメリカ・ワシントンD.C.にあるアメリカ国会議事堂と近いデザインです。ローマ時代の様式を取り入れ、デモクラシー、民主主義、人々の自由をテーマにしたデザインで、1994年に独立した新しい国であるパラオが世界の仲間入りすることや自由・独立の意を発信することを意図しています。

国会議事堂の建設にあたっては外交関係のある台湾からの借款が建設費に充てられ、国会議事堂の正面に台湾からの資金援助を示す碑があります。

国会議事堂の一階エントランス国会議事堂は中に入ることができ、一階のエントランス部分にはスポーツの国際大会やオリンピックの記念写真や歴代大統領の写真が飾られています。

パラオの歴代大統領の写真

クニオ・ナカムラ / パラオ共和国 第5代大統領

マルキョクへの首都移転を精力的に推し進めたクニオ・ナカムラ第5代大統領の写真も飾られています。

シドニー五輪時の聖火リレー

実際に用いられたトーチ

2000年のシドニーオリンピックの際は「オセアニアを結ぶ」という聖火リレーのコンセプトから、南太平洋の多くの島でリレーがされ、パラオでも自国で初めて聖火リレーが実現しました。聖火リレーの様子やリレーで使われたトーチが展示されています。

シドニー五輪時の聖火リレー

国会議事堂内部の一角には2013年に起こった台風30号による被害に関する日本からの資金援助に感謝を伝える展示もあります。

台風30号の影響で、コロール島やバベルダオブ島で家屋や電力・水道網に被害があり、全土で非常事態宣言が発令、パラオ北部のカヤンゲル島ではほとんどの建物が全壊しました。

日本政府からは国際協力機構(JICA)を通じて、200万円相当の支援物資を提供していますが、展示には一般からの募金が総額38万USドル(日本円で約4,000万円)に上ったという記載がされています。パラオと日本の強い結びつきを感じる内容ですね。

  • スポット名:国会議事堂
  • 特徴:デモクラシー、民主主義、人々の自由をテーマにデザインされた国会議事堂

2.裁判所

裁判所

国会議事堂の両側には裁判所と大統領府が併設され、行政・立法・司法の三権がマルキョクに揃っていることが分かります。パラオの法律は、日本統治時代の法制度と、第二次大戦後のアメリカ統治時代の法律にパラオの伝統的な慣習が混在した特殊な内容で、法廷ではパラオ語が使われます。

なお、パラオには各州から一名ずつ部族を代表する酋長が参加する酋長会議があり、パラオの慣習とパラオの法律の関係について大統領に助言をおこなうという制度が存在します。ルクライ(Reklai)の称号を持つマルキョクの酋長とコロールの酋長アイバドル(Ibedul)はとくに強い影響力を持っています。

国会議事堂や裁判所を繋ぐ外廊下

裁判所の裏側からはジャングルと海が見える

パラオは環境保護に対して積極的に取り組んでいることで知られており、魚の乱獲を防ぐ海洋保護法や観光客の行動を規制するロックアイランド管理保護法、ガラスマオ保護法を制定し、観光と環境の両立に努めています。

  • スポット名:裁判所
  • 特徴:国会議事堂・大統領府と一緒に併設される司法を行使する場所

3.韓国人犠牲者追悼公園

慰霊碑

マルキョクの国会議事堂エリアから車で3分ほどの場所に、第二次対戦で亡くなった朝鮮の人々を追悼する公園と慰霊碑があります。

追悼公演への看板

追悼公園入り口にある石碑

国会議事堂を左手に車で走っていると、追悼公園への入り口を示す緑色の看板があります。公園まで200mと記載されていますが、実際には400m〜500mほど。道は一本道ですが、ぬかるみがあり少し荒れています。

韓国国旗の石碑

さまざまな宗教建築

公園内部には韓国国旗のモニュメントがあり、十字架と仏像に挟まれる形で慰霊碑が建設されています。パラオにある慰霊碑としては、ペリリュー島にある日本軍の慰霊碑などが有名ですが、日本人以外も犠牲者がいたということを思い起こす場所です。

  • スポット名:韓国人犠牲者追悼公園
  • 特徴:第二次世界大戦で命を落とした朝鮮人を追悼する公園

4.マルキョク アバイ

マルキョク州にあるアバイ

アバイ(Bai)とはパラオの伝統的建築物で「バイ」ともいわれます。屋根が二等辺三角形の茅葺き屋根となっていて、側面にはアバイごとにパラオの伝わる物語が描かれています。

パラオに多数あったアバイも1900年以降に消失し、残っているのはマルキョク、アイメリーク、アイライ、コロールにある4つのみです。

マルキョク州のアバイは場所がわかりづらく、地面もぬかるんでいるので訪れるには注意が必要です。アバイの多くは女人禁制ですが、マルキョク アバイは側面の壁画に女性が描かれ、位の高い男性と女性との夜這いの場所としても使われていたのではないかと考えられています。

入口の左右に描かれる鶏は魔除け

入口にコウモリの絵

マルキョクアバイの内部

入口には魔除けの意味があるコウモリや鶏が描かれ、酋長への敬意を示すために頭を下げないと入れない高さに設計されています。

内部は板張りの造りです。アバイでの議論が終了するまでは外に出ることはできなかったので、就寝の際は中央部にある木の突起を枕に寝ました。

アバイの側にあるお墓

マルキョク アバイの側にはお墓があり、酋長やその家族などの高位な人たちの墓ではないかと考えられています。

  • スポット名:マルキョク アバイ
  • 特徴:高位な人たちの墓と考えられているパラオの伝統建造物

5.ストーンフェイス

ストーンフェイス

パラオにはたくさんの伝承があり、その中の1つにマルキョクにある顔のように見える岩「ストーンフェイス」が関係しています。

「かつて、パラオには手と足が伸びる神様と人間のハーフがいた。悪さばかりするので、村人によって退治されたら全身が石になった。今となっては手と足はなくなり、顔だけが残っている」という話です。

水路の脇にあるストーンフェイス

パラオの伝承は文章ではなく口頭や絵によって伝えられてきたため、地域や家系によって物語は異なっており、元となる話を特定することは困難です。そのため、ストーンフェイスに関する話も、概要だけが共通していて詳細は分からなくなってしまいました。

バベルダオブ島北部にある「ストーンモノリス」のストーンフェイス

バベルダオブ島北部にある「ストーンモノリス」にもストーンフェイスがありますが、マルキョクのストーンフェイスとの関係性も分かっていません。

  • スポット名:ストーンフェイス
  • 特徴:神秘的な歴史や文化を感じさせるパラオの謎の一つ
  • 費用:入場料5USドル(約540円)

6.ビーチサイドカフェ「オケミ デリ(OKEMii DELi)」

オケミ デリの外観

オケミ デリの看板

マルキョクにある「オケミ デリ(OKEMii DELi)」はメニューが豊富で、ビーチの側にあるため、旅行者がマルキョクで食事をするなら、ほぼこちらになります。国会議事堂から車で5分ほどの距離です。

テラス席

海がすぐ側にある

清潔感のある店内

店内にも席はありますが、おすすめはビーチ側のテラス席です。僕が訪れた時も地元の方が食事をしており、ガイドによるとマルキョクの酋長とその家族でした。

オケミ デリの軽食メニュー

オケミ デリのメインメニュー

写真のように旅行者向けの英語メニューも用意されており、店員も英語が通じるのでどんな料理なのか質問してみてもよいでしょう。オケミ デリに限りませんが、パラオのレストランは比較的調理がゆっくりなので、15分から20分ほど待ちます。

地魚のソテー

照り焼きスペシャル

オケミ デリの料理

注文したのはパラオの地魚のソテー(Grilled Fish)と照り焼きスペシャル(Teriyaki Special)です。しっかりとした味付けでご飯もセットなので、男性でもお腹いっぱいに。

なお、料理の時間を待てない場合はお店に電話すると、事前に料理を準備してもらうことができます。

  • レストラン名:オケミ デリ(OKEMii DELi)
  • 住所、所在地:Unnamed Road, Melekeok, Palau
  • 営業時間:8時〜16時まで(月曜定休)
  • 電話番号:654-1000・654-1140
  • URL:

マルキョクを訪れる際に利用したいツアー

国会議事堂の裏側

ツアーでマルキョクを訪れる方法は、バベルダオブ島を周遊する自由度の高いツアーか貸切ツアーのどちらかです。

マルキョクまではコロール島から車で30分ほどなので、マルキョクのみを観光するなら半日のツアーで十分ですが、ガラスマオの滝やストーンモノリスも一緒に観光する場合は移動に時間がかかるため1日ツアーを選びましょう。

バベルダオブ島自由探索ツアー(Fish ‘n Fins)

Fish ‘n Finsが催行する「バベルダオブ島自由探索ツアー」では、マルキョクを含むバベルダオブ島の観光ルートを決めることができます。

マルキョク アバイやカフェ「オケミデリ」などマルキョク周辺の観光スポットを満喫したい場合におすすめです。ガイドと訪問先の相談することもできるので、要望を伝えれば思わぬオリジナルルートを作ることができるかもしれません。

  • ツアー名:バベルダオブ島自由探索ツアー
  • 費用:大人 115USドル(約12,420円)、子ども(4歳〜11歳)75USドル(約8,100円)、3歳以下 無料
    (※別途、1名での参加の場合は大人 150USドル:約16,200円)
  • 所要時間:約6.5時間〜7.5時間
  • Webサイト:https://www.veltra.com/jp/beach_resort/palau/a/101043

1日貸し切りドライブツアー(パラオプランテーションリゾート)

パラオプランテーションリゾートの「1日貸し切りドライブツアー」では、ツアー専用車を貸し切ってマルキョクを含むバベルダオブ島を観光します。

料金は1台あたり200USドル〜なので、家族やグループで利用すればツアーよりも安い費用でマルキョクに訪れることができます。

  • ツアー名:1日貸し切りドライブツアー
  • 費用:車1台につき、半日 200USドル(約21,600円 )1日 400USドル(約43,200円 )
    (※別途、1名あたりお弁当代 5USドル:約540円が必要)
  • 所要時間:約3時間(半日)〜約6時間(1日)
  • Webサイト:http://p-plt.com/activity/fullday-private-car/

マルキョクへのアクセスと交通手段

コロール島とマルキョクがあるバベルダオブ島を繋ぐ「KBブリッジ」

マルキョクのあるバベルダオブ島には、宿泊施設やレストランがほとんどありません。そのため、経済の中心地でもあるコロール島やマラカル島に、旅行の拠点を置くことになります。

バベルダオブ島とコロール島には、「KBブリッジ」と呼ばれる橋が繋がっているので、車で相互を行き来することができます。またコロール島とマラカル島にも橋が繋がっています。

パラオには電車がないので、タクシー・送迎バス・シャトルバス・レンタカーが移動の手段となります。

  • コロール島中心部〜マルキョク:車で約40分
  • マラカル島中心部〜マルキョク:車で約45分

ツアーに参加する場合は、基本的にホテルまで送迎がありますが、個人で行動するのであれば、車を手配する必要があります。

またマルキョクの付近には、ビーチサイドカフェ「オケミ デリ(OKEMii DELi)」を除き、大きなレストランがありません。ゆっくりと食事を楽しみたい方は、コロール島の飲食店を利用すると良いでしょう。

コロール島の基本情報やおすすめのレストランについては、別記事で紹介してますので、チェックしてみてください!

コロール島の観光ガイド|パラオ中心地の名所・レストラン・ホテル情報

マルキョクでパラオの歴史を学ぼう

1994年に独立したばかりの新しい国であるパラオは、2006年のマルキョクへの首都移転で政治、経済の両面で新たな段階に入りました。

日本とも結びつきが深いパラオの新首都を訪れることで、パラオの歴史に触れてみるのはいかがでしょうか。

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