


世界遺産ロックアイランドの観光ガイド...

パラオの人気観光スポット・ロックアイランドに位置する「ジェリーフィッシュレイク」は、その名前の通りたくさんのジェリーフィッシュ(クラゲ)が住む湖です。ジェリーフィッシュレイクに住むゴールデンジェリーフィッシュは、外敵がおらず一般的なクラゲのような毒が衰退しているため、多くのクラゲに囲まれながら一緒に泳ぐことができます。
数百万匹のクラゲたちに溶け込むように泳ぐ体験は、金色に光るクラゲも相まって異世界にいるような感覚を覚えます。
一時期はクラゲの減少によりツアーが中止されていましたが、2018年後半からツアーが再開し、ふたたびパラオの人気ツアーの一つに。そんなパラオならではの体験をおこなった筆者が、ジェリーフィッシュレイクの魅力と、当日の持ち物や服装をお伝えします。
※1ドル=108円で計算しています
幻想的なクラゲ
ジェリーフィッシュレイクは、世界遺産であるロックアイランドを形成する島のひとつマカラカル島にあるマリンレイク(海水湖)です。コロール島からスピードボートで30分ほど南に移動した場所に位置します。
マリンレイクは島と島に囲まれて直接外洋と接しておらず、海水と淡水が入り交じった湖を指します。ジェリーフィッシュレイクの場合は、表層近くにあるトンネルで海と繋がっています。
ジェリーフィッシュレイクの水面付近
ジェリーフィッシュレイクのような構造の湖は世界的にも珍しく、世界で約200ヶ所が知られており、そのうち11ヶ所がマカラカル島や周辺の島で確認されています。
ジェリーフィッシュレイクには、その名前の由来となった毒をもたないクラゲが数百万匹生息しており、クラゲと一緒にシュノーケリングが楽しめることからパラオで人気のあるユニークな観光スポットとなっています。
ゴールデンジェリーフィッシュ
ジェリーフィッシュレイクには、ゴールデンジェリーフィッシュとムーンジェリーフィッシュという2種類のクラゲが生息しています。
ゴールデンジェリーフィッシュはタコクラゲの近縁で、体の色が黄色がかっていて触手が短く、全体的に丸い形をしているのが特徴。大きさは数ミリから、大きい固体ではソフトボールくらいの大きさまで成長します。
大量のゴールデンジェリーフィッシュが泳いでいる
ゴールデンジェリーフィッシュは、付近の海に生息するタコクラゲの亜種と考えられており、プランクトンを捕食しつつ、体内に寄生している藻からも栄養を得ている点が共通しています。
藻が栄養を作るためには、太陽の光に当たって光合成を行う必要があるため、太陽の動きに合わせて湖の中を水平方向に回遊しています。
ムーンジェリーフィッシュ
ムーンジェリーフィッシュはミズクラゲの一種で、ゴールデンジェリーフィッシュとは違って回遊行動はせず、数もゴールデンジェリーフィッシュよりも少ないです。ムーンジェリーフィッシュの栄養源であるカイアシが夜間に表層に上がってくることから、夜になると餌を求めて浮上します。
珍しいムーンジェリーフィッシュ
触っても害はないが、傷つけないよう要注意
どちらのクラゲもほかのクラゲと同様に刺胞を持っているので、刺されないわけではありません。しかし、刺胞がとても小さいため刺されても何も感じませんし、極めて弱い毒しか持っていないので人体に影響はありません。
ジェリーフィッシュレイクに棲息するクラゲは、天敵であるカメがおらず外敵から身を守る必要がなくなったため、毒が退化したと考えられています。
もし、クラゲに関してアレルギーを持つ人でも、適切な防護服を着ればクラゲと一緒にシュノーケルをすることができるので、ツアー会社に相談してみましょう。
上空から見たジェリーフィッシュレイク
ジェリーフィッシュレイクでは2016年5月頃からクラゲの数が激減、一時的にツアーの催行が中止されていました。
シュノーケル中のフィンキックだけでもかんたんに破れてしまうほど繊細なため、観光客が押し寄せすぎたからともいわれていましたが、おもな原因はエルニーニョ現象(数年に1度の頻度で起こる熱帯太平洋で見られる気候変動現象のこと)だったと考えられています。
エルニーニョ現象によって、降雨量の減少や水温の上昇などの気象変化が起こり、ジェリーフィッシュレイクの水温や塩分濃度などの水中の環境が変化。ジェリーフィッシュレイク内で独自の進化を遂げていたクラゲの多くが、その影響で死んでしまったとされています。
復活したジェリーフィッシュレイク
2017年には少しずつクラゲの数が戻ってきましたが、十分な数が揃うまでツアーの再開は延期に。そして、2018年の11月になり、ようやくジェリーフィッシュレイクへのツアー徐々に再開されてきました。今ではたくさんのクラゲを見られるようになっています。
太陽の光を求めて浮上してくるクラゲ
ジェリーフィッシュレイクには現地ツアーに参加することで、誰でもかんたんに訪れることができます。
今回はカヤック&ジェリーフィッシュレイクツアーに参加し、ロックアイランドエリアにあるミルキーウェイやロングビーチなどを訪れ、カヤックとシュノーケリングを体験し、ジェリーフィッシュレイクへと訪れました。
併せて訪れたミルキーウェイで泥パック体験
カヤック
ジェリーフィッシュレイクの前にカヤックを楽しむ
シュノーケル体験
ツアーの行程では、はじめにミルキーウェイに訪れて泥パック体験をし、次にボートでは立ち寄ることのできないマングローブ林やマリンレイクをカヤックで進んでいきます。
昼休憩で無人島でのランチを楽しんだら、いよいよメインとなるジェリーフィッシュレイクへ訪れます。
ランチ休憩に入る前にツアーガイドが、ジェリーフィッシュレイクの注意点を説明します。クラゲを手荒く扱わないことやクラゲを傷つけない泳ぎ方を習ったら、必要な方は日焼け止めを塗ります。ジェリーフィッシュレイクの水質保護のため、レイクに入る30分前からは日焼け止めの使用が禁止となるためです。
ジェリーフィッシュレイクまではトレッキング
ジェリーフィッシュのあるマカラカル島に到着したら、ジェリーフィッシュレイクまで約10分ほど歩きます。
フィンとマスクやカメラを運びつつ、安全なトレッキングのために両手を空けるので、ライフジャケットの背中部分にフィンとマスクを装着してのトレッキングです。
トレッキングを終えてジェリーフィッシュレイクに到着したら、ジェリーフィッシュレイクの水質を保護するために、浅橋で身体についた砂や汚れを落とします。あわせて、シュノーケルの詳しい注意点やクラゲに関する説明もここで受けます。
ジェリーフィッシュレイクのクラゲはフィンキックでかんたんに破けてしまうことがあるほど繊細な生き物なので、シュノーケリング中にクラゲが増えてきたらフィンを使わずに手の泳ぎだけで進むようにします。
ジェリーフィッシュレイクを取り囲む森
準備ができたら、桟橋からクラゲが多くいるエリアまで泳いで移動します。しばらく泳ぐので、ライフジャケットを着用して体力を温存しましょう。
気付けば周りにはクラゲが泳いでいる
ガイドを先頭に泳いでいくと、少しずつ周りにクラゲがぽつぽつと現れてはじめ、奥に進むにつれてどんどんとクラゲが増えます! いつしか上下左右に数え切れないくらいのクラゲが周りを泳いでいます。
クラゲのぷるぷるとした感触を肌に感じながらシュノーケリングするのはなんともいえないユニークな体験で、慣れるまで不思議な感覚に少しびっくりするかもしれません。大小さまざまなクラゲをあちこちに追いかけていると、すっかり時間を忘れて夢中になってしまいます。
クラゲには優しく触ろう
ジェリーフィッシュレイクでシュノーケルをする時間は長めにとられているので、クラゲをそっと触ってみたり、写真を撮ったりしながら、クラゲとの遊泳をたっぷり楽しめます。
触っても人体に影響がないためたくさん触りたくなりますが、持ち上げたり引っ張ったりしてクラゲにダメージを与えないよう注意です。
優しく触れる程度に触りながらシュノーケルができる
素潜りが得意であれば、ライフジャケットを外して深く潜ってみると、より多くのクラゲを一度に見ることができます。
ぷるぷるのクラゲ
シュノーケルタイムが終わって浅橋に泳いで帰っていくときでも、ところどころにクラゲが泳いでいるので、浅橋に到着するギリギリまでクラゲとのシュノーケリングを楽しめます。
【ジェリーフィッシュレイクを観光するときのポイント】
至近距離までクラゲに近づける
ジェリーフィッシュレイクに自力で訪れることはできないため、現地ツアーに参加することになります。
人気の観光スポットであるジェリーフィッシュレイクに行くツアーはたくさんあるので、カヤックやシュノーケルなどほかのアクティビティや目的地との組み合わせをチェックして、最適なツアーを見つけてみてください。
ロックアイランドツアーカンパニーの「スペシャルロックアイランドツアー」はジェリーフィッシュレイクに加え、パラオで人気の観光地である「ミルキーウェイ」、「ロングビーチ」を1日ですべて訪れることができる贅沢なツアーです。
初めてのパラオ旅行で最初に参加するツアーとして、またはパラオでの滞在日程がタイトで1日でなるべく多くの観光スポットを訪れたい人におすすめです。
インパックツアーズの「ジェリーフィッシュレイクツアー」はジェリーフィッシュレイクに訪れることをメインにしたツアーで、ほかに「ミルキーウェイ」と2回のシュノーケリングがセットになっています。
ミルキーウェイとは、ロックアイランドを構成する石灰岩や石灰となった珊瑚が海に溶け出した、乳白色混じりのターコイズブルーの海のことです。この海底に蓄積された乳白色の泥には、保湿と美白効果があるため、天然の泥パックが世界的に人気を集めています。
このミルキーウェイの泥は持ち帰ることはできませんが、泥を使った石鹸や泥パックなどの化粧品が旅行者の間でとても人気です。
さらにミルキーウェイについて詳しくは、この記事からご確認いただけます。ぜひ参考にしてみてください!
「ジェリーフィッシュレイクツアー」は、訪問先が少ないので、値段もジェリーフィッシュレイクに訪れるツアーの中では安くなっています。シュノーケリングを重視したい旅行者におすすめのツアーですので、ぜひ検討してみてください。
インパックツアーズが主催する「カヤック&ジェリーフィッシュレイクツアー」では「ジェリーフィッシュレイク」と「ミルキーウェイ」のほかに、ツアーボートでは入ることができないパラオのマリンレイクやマングローブ林で、カヤックも楽しむツアーです。
ロックアイランドの鉄板アクティビティであるシュノーケルも1ヶ所含まれていますが、カヤックの時間が約80分間もあるので、ロックアイランドを自分のペースで探検したい旅行者におすすめです。
なお、ロックアイランドの内海は波が立ちにくく、ガイドによるカヤックのレクチャーもあるので初心者でも心配いりません。
ジェリーフィッシュレイクツアーに参加する場合は、事前に持ち物のチェックをしましょう。どのツアーに参加するかで必要なアイテムは変わってきますが、ここでは代表的なものを紹介します。
許可証を携帯してツアーで訪れるのが一般的
ジェリーフィッシュレイクへの現地ツアーに参加する場合、コロール州政府が発行するジェリーフィッシュレイク許可証が必要となります(6歳未満は不要)。1人あたり100USドル(約1万800円)で、有効期間は10日間。ツアー会社を通して購入し、購入後は忘れずに携帯しましょう。
なお、ジェリーフィッシュレイク許可証があれば、ロックアイランドツアーの参加に必要なロックアイランド許可証を兼ねることができます。
ただし、ロックアイランド許可証を購入後にジェリーフィッシュレイク許可証を購入する場合は、新たに100USドルが必要となるため注意してください。もし、ジェリーフィッシュレイクを検討している方は、あらかじめ「ジェリーフィッシュレイク許可証」を購入するのが良いでしょう。
悠々と泳ぐクラゲ
ジェリーフィッシュレイクのツアーが復活したことで、パラオのロックアイランド方面を観光することがより魅力的になりました。ツアーでは、ロングビーチやミルキーウェイといったパラオの定番スポットを周遊しつつ、ぜひパラオならではの幻想的な体験を味わってみてください。
ジェリーフィッシュレイクのクラゲたちはとくにデリケートな生き物なので大切に見守りつつ、一緒に幻想的なシュノーケリングをお楽しみください。
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