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ダイビングウエットスーツの選び方|機能性や種類ごとの特徴を解説

ダイビングウエットスーツの選び方|機能性や種類ごとの特徴を解説

ウエットスーツといえば、安全・快適にダイビングを楽しむために欠かせないアイテム。ウエットスーツはさまざまなリスクから身を守ってくれますが、とくに初心者の方はその必要性をイメージしにくいかもしれません。

また、ウエットスーツにはいくつかの種類があり、タイプによって特徴が大きく異なります。各シーンに最適なスーツを選ぶには、タイプごとの違いや選び方のポイントをしっかりと押さえなくてはなりません。

そこで今回はウエットスーツの必要性に加えて、タイプごとの特徴や選び方などをまとめました。正しい洗い方や保管方法についてもご紹介しているので、ウエットスーツの基礎知識をしっかりと身につけられます。

長く愛用できるウエットスーツを手に入れるために、ぜひ最後までチェックしてみてください。

ウエットスーツの選び方|3つのポイントを押さえよう

自身により適したウエットスーツを選ぶには、各タイプの特徴だけではなく、選び方のポイントを押さえておくことも必要です。せっかく用途にぴったりなウエットスーツを購入しても、サイズや素材が合わなければ安全性・快適性が損なわれてしまいます。

そのため、以下でご紹介するポイントもしっかりと理解しておきましょう。

1. フィット感を重視する

ウエットスーツ選びで重要なポイントは、体とスーツのフィット感です。体にぴったりとフィットするものを選ばないと、ウエットスーツの機能性は大きく損なわれてしまいます。

たとえば、体に対して大きいサイズを選ぶと、ウエットスーツと体のすき間から頻繁に水が出入りします。保温性が損なわれてしまうため、体温や体力の低下を防ぐことができません。逆に小さいサイズにも問題があり、その圧迫感から運動性が損なわれたり、呼吸がしづらかったりなどの弊害が生じます。

具体的に、ウエットスーツのサイズ選びでポイントとなる箇所を、下記にまとめて紹介します。

  1. 「胸囲」・・・サイズ選びで一番重要となる場所。サイズが小さくて胸囲を圧迫しすぎてしまうと、心臓に負荷がかかり心肺機能に支障が出てしまいます。また、胸囲が合っていないと、肩や背中周りがきつくなるため、身体全体が動きづらくなってしまいます。胸囲がサイズ表の数値よりも小さい場合は、ワンサイズ上を検討したほうが良いかもしれません。
  2. 「首」・・・ウエットスーツを着脱する際の開閉口となる場所。首部分は着脱のしやすさに影響するため、ついついサイズを緩めに選びがちです。しかしウエットスーツで、首部分が一番水の侵入を許してしまう場所なので注意が必要です。しっかりと自分の首のサイズにフィットするスーツを選ぶようにしてください。
  3. 「手首」「足首」・・・首部分と同様、この2箇所も水が侵入しやすい場所です。海で波の勢いが増したときに袖がまくれてしまい、スーツの中に水が入ってしまうことはよくあることです。そのため、袖部分もフィット感が重要となります。ウエットスーツの袖口の作りには、縫い目が表に出ないタイプや、袖口が縫い合わせられたタイプの防水性がより高いものがあるので、そちらもぜひ検討してみてください。

以上の点からもわかるように、「ウエットスーツは必ずしっかりフィットするものを選ぶ」というのが最大のポイントですもしサイズ感に不安がある場合は、体験ダイビングであればツアーガイドに相談したり、購入を考えている場合は体を採寸してから作るオーダースーツもひとつの手段です。

2. 着用するシーンで素材を選ぶ

ほとんどのウエットスーツには、「ネオプレーンゴム」と呼ばれる素材が使用されています。細かく見ると、このゴム素材にも以下の2つの種類があります。

  • 気泡が緻密なもの:素材としては硬いものの、耐久性の面で優れている。さらに深い場所に潜っても素材がつぶれにくいため、保温性をしっかりと維持できる。プロ向けのオーダースーツなど、本格的な製品に使用されているケースが多い。
  • 気泡が大きく粗いもの:素材としてやわらかく、伸縮性や着心地の面で優れている。ただし、ウエットスーツの傷みが早いうえに、深い場所では保温性を維持しにくいため要注意。一般的な量販店や、レンタルショップなどで用意されているケースが多い。

ウエットスーツは潜る深さによって適した素材が異なります。実際の楽しみ方を意識しながら、各シーンにぴったりな素材を選びましょう。

3. ファスナーの位置をチェックする

ウエットスーツは製品によって、ファスナーのついている位置が異なります。一見すると大きな違いはないと感じるかもしれませんが、とくに前開き(お腹側)・後ろ開き(背中側)には以下のような違いがあるので要注意です。

  • 前開きのファスナー:ダイビング器材を背負うときに邪魔になりにくく、髪の毛を挟んでしまう心配もない。また、移動中に胸元を開くと圧迫感がなくなるため、船酔い防止につながることも。
  • 後ろ開きのファスナー:前開きのファスナーに比べて脱ぎやすい点がメリット。

また、手首や足首の部分については、できるだけファスナーが備わった製品を選びましょう。手首・足首にファスナーがついているだけで、脱着のしやすさが大きく変わってきます。

 

4つの役割で安全性・快適性を高めてくれるウエットスーツ

ウエットスーツとは、マリンアクティビティを楽しむ際に着用するスーツのこと。伸縮性があり、一般的なタイプでは首から足首まで全身を覆います。

そんなウエットスーツにはさまざまな役割があり、着用することでおもに以下のメリットが生じます。

  • 保温性を高める:ダイビングなどのマリンアクティビティでは、体温が低下すると体力を大幅に奪われます。海水・外気によって体温が低下しないよう、ウエットスーツは保温性が高くなるように作られています。
  • 体を保護する:全身をすっぽりと覆うことで、衝撃や接触から身を守ってくれる点もウエットスーツの大切な役割。ダメージを抑えてくれるため、ケガを防止してくれる効果があります。
  • 日焼けを防止する:ウエットスーツは肌の露出部分を減らせるため、日焼けを防止する効果もあります。とくに日差しの強い夏場には、日焼けによってやけどのような状態になってしまう恐れもあるので、マリンアクティビティでは日焼けを軽視してはいけません。
  • 浮力を高める:ウエットスーツの生地には多くの空気が含まれているため、水に入ったときの浮力を高めてくれます。その結果、泳ぐ際の負担が軽減されるので、ウエットスーツには疲労軽減の効果もあります。ちなみに浮力が大きすぎて泳ぎにくい場合は、「ウェイト」と呼ばれる重りを使って浮力を調整できます。

ウエットスーツはマリンアクティビティの安全性・快適性をぐっと高めてくれるアイテムです。そのため、ダイビングをはじめシュノーケリングやカヤックなど、幅広いマリンアクティビティに使用されています。

とくに水中世界を探索するダイビングには、体温低下や接触などさまざまなリスクが潜んでいるため、ウエットスーツは必須のアイテムといえるでしょう。

ウエットスーツのタイプ別の特徴を押さえよう

ウエットスーツには複数の種類があり、ダイビングを楽しむ状況によって適したタイプが異なります。自身に最適なウエットスーツを選ぶには、各タイプの特徴をしっかりと理解しておくことが必要です。

ウエットスーツのおもなタイプについて解説していきましょう。

1. フルスーツ

おもに春や秋~初冬にかけて着用されている、一般的なタイプのウエットスーツ。手首から足首まで体全体を覆っており、1年でもっとも長い期間使用するスーツといわれています。

ダイビングを楽しむ具体的な時期が決まっておらず、ひとまず長年愛用できるウエットスーツを購入したい方は、まずはこのフルスーツから検討し始めるとよいでしょう。

  • 着用時期の目安:オールシーズン
  • 着用する温度の目安:水温15〜20度 / 気温15〜20度

2. セミドライスーツ

フルスーツと同じく、手首から足首にかけて体を覆えるウエットスーツです。生地がやや厚く、風をとおさないラバー生地が使われた製品もあるため、フルスーツに比べると保温性が高い特徴を持っています。

また、以下でご紹介するドライスーツより動きやすい点も、このウエットスーツの魅力。保温性と運動性を兼ね備えており、水の侵入もしっかりと防いでくれます。

  • 着用時期の目安:11月~4月
  • 着用する温度の目安:水温5〜18度 / 気温5〜18度

3. ドライスーツ

ウエットスーツではもっとも保温性が高く、とくに寒い環境で着用されているタイプ。気密性にも優れており、しっかりと体にフィットすることで水の侵入も防いでくれます。

ただし、フルスーツになどに比べると重量があり、運動性がやや落ちてしまいます。水没するリスクもあるため、扱うための技術が必要になる点はきちんと理解しておきましょう。

  • 着用時期の目安:12月~3月
  • 着用する温度の目安:水温2〜15度 / 気温△5〜15度

4. シーガル

上半身は半袖、下半身は長ズボンの形になっているタイプ。外気はやや暖かいものの、水温が低いシーンで活躍するウエットスーツです。

後述のタッパーを重ね着することも可能なので、ダイビングをする状況によって保温性を多少調整できます。

  • 着用時期の目安:5月~7月、9月~10月
  • 着用する温度の目安:水温18〜22度 / 気温18〜25度

5. ロングスリーブスプリング

シーガルとは反対に上半身が長袖、下半身は半ズボンになっているタイプ。春や秋に着用されることが多く、外気がやや冷たいときに持っていると便利です。

また、体温に加えて腕を紫外線から守れるため、腕の日焼けが気になる方にもぴったりでしょう。

  • 着用時期の目安:5月~7月、9月~10月
  • 着用する温度の目安:水温18〜22度 / 気温18〜25度

6. スプリング

半袖・半ズボンの形になっている、夏場に着用されることが多いタイプ。気温と水温の両方が高い場合に、重宝するウエットスーツです。

動きやすい特徴を持っていますが、腕と足は露出されているため、紫外線が気になる方は日焼け対策をしっかりと行っておきましょう。

  • 着用時期の目安:7月~9月
  • 着用する温度の目安:水温18〜25度 / 気温25〜30度

7. タッパー

上半身のみを覆ったウエットスーツです。半袖と長袖の2種類があり、水着と併用して着用します。

保温性を高められるうえに、長袖タイプでは腕をしっかりと覆えるため、日焼け対策としても役立ちます。

  • 着用時期の目安:7月~9月
  • 着用する温度の目安:水温22〜25度 / 気温25〜30度

8. ベスト

タッパーのなかでも、ノースリーブタイプのものはベストと呼ばれています。フードと一体になった「フードベスト」もあり、フードベストは首からの水の侵入をしっかりと防いでくれます。

とくに水温や外気が冷たいときには、他のウエットスーツの下にベストを着用し、保温性を高めることもあります。

  • 着用時期の目安:7月~9月
  • 着用する温度の目安:水温22〜25度 / 気温25〜30度

基本的なものは上記の8タイプですが、ほかにも下半身のみを覆った「ウエットパンツ」や、ノースリーブと半ズボンの形を組み合わせた「ショートジョン」などがあります。

ウエットスーツは種類によって保温性・運動性が大きく変わってくるため、実際に潜るシーンを想定したうえで適したタイプを選ぶことが重要です。

オーダーでウエットスーツを作る

ダイビング用のスーツ選びで、オーダーメイドのウエットスーツを作ることもおすすめです。

既製品のウエットスーツよりも少し金額が高くなるデメリットがありますが、メリットも多くあります。オーダースーツのメリットとデメリットについて詳しくみていきましょう。

また、オーダースーツの作り方や、出来上がって自宅に届くまでの日数も紹介しています。自分にぴったりのウエットスーツをゲットしたい方はぜひ参考にしてみてください。

オーダースーツのメリットとデメリット

オーダースーツにはメリットもあればデメリットもあります。どちらも理解した上で、オーダーするかしないの判断基準にしてみてください。

メリット

  • 保温性がアップ…自分の体にフィットするスーツであるため、中に水が侵入しすぎることが減り保温性が上がります。
  • サイズがぴったりで動きやすい…サイズがぴったりであることは、体全体の浮力を均等に保つことができるため、動きやすくなりダイビングの上達に繋がります。
  • 自分だけのウエットスーツが出来上がる…自分だけのウエットスーツを作ることで、次のダイビングが楽しみになるでしょう!

デメリット

  • 届くまで時間がかかる…オーダースーツは、採寸してから約2~4週間程経ってから自宅に届きます。次回のダイビングがまだまだ先の予定であれば問題ありませんが、急ぎのときはレンタルをおすすめします。
  • 既製品と比べて費用が高い…採寸したものを一着一着作っているので、既製品よりも料金が約1万円程高くなります。生地などにこだわりがある方や厚い生地を作りたい方は、生地や厚さをグレードアップするごとにおよそ5千円ずつ値段が上がります。
  • 採寸する人の腕で着心地が変わる…採寸がうまくいかなかった場合、ぴったりサイズのオーダースーツが出来上がらない可能性もあります。専門店にて専門知識を持った店員さんに採寸してもらうことがおすすめです。

工程や金額は?

ここからは、オーダースーツを作る具体的な流れや目安の金額を解説しています。オーダーする場合時間がかかってしまうので次回の予定までに余裕があるときに作っておきましょう。

▼オーダーメイドの種類

  • セミオーダー:採寸を目安にピッタリ合うサイズを選んでくれます。フルオーダーにしても値段が変わらない場合もあるので、せっかく作るのであればフルオーダーを作るのもいいでしょう。
  • フルオーダー:セミオーダーよりも緻密に体のラインにフィットしたスーツを作ってくれます。セミオーダーでサイズが無い場合はフルオーダーがおすすめです。

▼どこで作るの?

  • 専門店:ウエットスーツの専門店に行くことで、専門知識を持った店員さんに採寸してもらえます。実際に着た際の特徴なども分かってくれていれば、よりぴったりなスーツを作成することが可能です。
  • オンラインショップ:お店に足を運ばずに、オーダースーツを作成することが可能です。採寸は自分で行わなければならないので、家族や友人に手伝ってもらい、注意事項に沿って測っていきましょう。

▼どういう流れなの?

  • ①生地、色選び:用途や好みに合わせて、生地やカラーを選んでいきます。
  • ②採寸:体のラインを出すために、25~40箇所とかなり細かく測ってもらえます。
  • ③製作:決めた生地や色、採寸したデータをもとに1~2週間かけてオーダースーツを製作します。
  • ④受け取り:約2週間~1か月で自宅に届きます。

オーダーをするウエットスーツのタイプや素材、デザイン、付けるオプションにより金額が変わってきます。オプションなどのこだわりがないのであれば、約3万円~6万円でオーダーできるでしょう。

オーダースーツは、ダイビングに慣れてきてより快適にダイビングを楽しみたい方や予算に余裕がある方におすすめです。自分だけのウエットスーツを手に入れて、快適なダイビングを楽しみましょう!

少しでも長く愛用するために!ウエットスーツの正しい扱い方

ウエットスーツは正しい扱い方をしないと、ダメージが蓄積してすぐに傷んでしまいます。また、扱い方によっては悪臭が発生する恐れもあるので、衛生面を意識した方法で保管しなければなりません。

購入したウエットスーツを長く愛用するために、正しいお手入れ方法・保管方法を理解しておきましょう。

ウエットスーツのお手入れ方法

使用したウエットスーツは、できるだけ早めに洗うことが大切です。海水や汚れは悪臭の原因になるので、遅くても翌日までには洗いましょう

ウエットスーツを脱いだらまずは近くの水場や洗い場を探し、とくにファスナーの部分は念入りに汚れを落とします。近くに洗える場所が見つからない場合は、自宅に持ち帰ってお風呂場などしっかりと汚れを落としましょう。

その後はバスタブなどにぬるま湯をはり、スーツ専用のシャンプーで丁寧にもみ洗いをします。塩気をしっかりと取りたい場合には、洗濯の前にぬるま湯に一晩つけておくと効果的です。

洗ったウエットスーツは、劣化を防ぐために風とおしの良い日陰に干すことがポイント。スーツの裏側が乾くまで陰干しをして、乾いたらひっくり返して表側も陰干しします。

なお、漂白剤や柔軟剤、洗濯機などの使用は、ウエットスーツの傷みにつながります。乾燥機や脱水機も素材にダメージを与えるので、完全に乾くまでじっくりと陰干しをしましょう。

ウエットスーツの保管方法

シワや型崩れを防ぐため、洗ったウエットスーツは畳まずに保管します。風とおしがよく直射日光が当たらない場所を選び、大きなハンガーにかけて真っ直ぐの状態で保管しておきましょう。

また、同じ状態でウエットスーツを長く保管していると、素材が硬くなってしまう恐れがあります。そのため、仮にダイビングに行く予定がなかったとしても、2ヶ月~3ヶ月に1回は実際に着て、素材を伸ばしてあげることが大切です。

ダイビングにウエットスーツは必須!各シーンに最適なものを

ダイビングにはさまざまなリスクが潜んでいますが、ウエットスーツを着用することでそのリスクは大きく抑えられます。気温が高い夏場であっても、ウエットスーツは日焼けや接触によるダメージ、体温低下などを防いでくれるので、初心者の方もしっかりと準備しておくことが必要です。

ただし、ウエットスーツは種類や素材によって特徴が変わってくるので、実際にダイビングを楽しむシーンを想定してから、最適なものを選ぶようにしましょう。今回ご紹介したポイントをしっかりと押さえれば、各シーンに最適なスーツを選べるはずです。

また、購入したウエットスーツは、正しい方法でお手入れ・保管することも重要です。少しでも長く愛用するために、専用のシャンプーなどもしっかりと準備しておきましょう。

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