ダイビング中、耳抜きが上手くできず、苦労したことはないでしょうか。
ダイビングを始めたての頃は、耳抜きができないと悩む方が多いですが、コツやタイミングを習得すれば「耳抜き上手」になります。
本記事では、耳抜きのメカニズムや、耳抜きのやり方を分かりやすく解説しています。また、上手に耳抜きするコツや、タイミングも紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
耳抜きの悩みがなくなると、ダイビングをもっと楽しむことができるでしょう。
ダイビングに耳抜きが必要な理由
耳抜きが上手くできないと、快適にダイビングを楽しむことができません。
初心者だろうがベテランだろうが、どんな方でも海に潜ると水圧がかかり、鼓膜が圧迫されます。このとき、鼓膜は内側にへこんだ状態になります。そうすると、水中で外耳(鼓膜の外側)と中耳(鼓膜の内側)の圧平衡が保てず、耳が痛く感じるのです。
耳抜きで重要な働きをするのは、鼻から中耳に空気を送る「耳管」と呼ばれる器官です。
鼻から空気を耳管へ入れ、へこんだ鼓膜を元の状態に戻すことを「耳抜き」と言います。耳抜きが上手にできないと、耳が痛くなったり、鼓膜が破れたり、めまいや耳鳴りがしたりします。
耳は、平衡感覚をつかさどる大切な部位。耳に異常が起こると、海の中で平衡感覚を失い、溺れてしまうなど、死亡事故に繋がることがあります。
安心安全に潜るためにも、耳抜きはダイビングに欠かせないスキルなのです。
耳抜きのタイミングと3つのコツ
耳抜きは、コツとタイミングさえ掴めば、上手くできるようになります。ここでは、耳抜きの頻度やタイミング、耳抜きのコツを紹介しています。ぜひ、実践してみてくださいね。
1. 水深5mまでは小まめに耳抜きする
水深の浅いところでは、体にかかる水圧の変化が激しいので、小まめに耳抜きをしましょう。特に、水深5mまでが肝心です。
まずは、海に潜ってすぐ水面下で1回目の耳抜きをします。そして、水深5mまでは50cm間隔で耳抜きをします。水深5〜10mは、1m間隔を目安に耳抜きを行いましょう。
水深が深くなるにしたがって、圧力のかかる倍数は少なくなるので、10m以降は耳抜きの頻度を減らしてもさほど問題ありません。
耳が痛くなる前に耳抜きすることが大切なので、小まめに耳抜きしましょう。
2. 鼻をしっかり塞いで耳抜きする
耳抜きをするときは、鼻をしっかり塞ぐことが大切です。鼻を塞ぐと、耳に空気を送りやすくなるので、楽に耳抜きできます。
サイズが合わないマスクを装着していると、鼻がつまめず、耳抜きしにくいことがあります。
特に、ノーズポケットが自分の鼻の形に合っていない場合は注意が必要です。マスクは、顔にフィットするものを選びましょう。マスクを装着し、鼻から息を吸いながら手を離した時に、マスクがそのまま顔面にくっつく状態が望ましいです。
下記の記事でマスクの正しい選び方やおすすめの製品を紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
3. 耳抜きのときは力を入れない
顔や肩まわりに力が入っていると、耳周辺の筋肉が緊張してしまい、耳抜きし辛くなります。
海に潜る緊張感や、ダイビング器材の重さで、身体がこわばっている場合があるので、リラックスすることが大切です。
耳抜きする前は、緊張して肩が上がっていないか、歯を喰いしばっていないか、チェックしてください。全身の力をフッと抜いてから耳抜きをしましょう。
耳抜きの主な3つの種類
ここでは、初心者から上級者まで、幅広く使えるおすすめの耳抜き方法3つを紹介しています。
- バルサルバ法
- フレンツェル法
- ツゥインビー法
記事を読みながら、実際に耳抜きをしてみてくださいね。自分がやりやすいと感じる方法が見つかるでしょう。
1.バルサルバ法
バルサルバ法は、息を吸ってから息を止め、鼻をつまんだ状態でいきみ、耳管に空気を送る耳抜き方法です。
ダイビングの講習で必ず学ぶ方法で、初心者でも耳抜きしやすいのがメリットです。しかし、いきむことで圧力が急激にかかり、耳管に負担がかかるなどのデメリットもあります。
2.フレンツェル法
フレンツェル法は、鼻をつまんだ状態で舌の奥(根元)を上にあげ、耳抜きする方法です。口を閉じたまま、大きなあくびをするイメージです。
この方法は、耳への負担が少ないのが特徴で、慣れると鼻をつままなくても耳抜きできます。しかし、フリーダイバーやダイビング上級者向けの耳抜きなので、練習しないと上手くできません。
まずは、手を使ってでも確実に耳抜きできるようになることが先決で、フレンツェル法は無理のない範囲で習得しましょう。
3.ツゥインビー法
ツゥインビー法は、鼻をつまんだ状態で、嚥下(唾を飲み込む)して耳抜きする方法です。
唾を飲み込むことで、耳管がひらき、中耳に空気を送りこむことができます。この方法は唾を飲み込むだけなので簡単ですが、唾液が少ない場合、耳抜きしにくいので注意が必要です。
ダイビング前に飴を舐め、唾液の分泌を促しておくのもおすすめです。ダイビング中に飴を舐めるのは危険なので、必ずダイビング前にしましょう。
耳抜きが上手くできない場合の2つの対処法
ダイビング中は声を発することもできないし、耳抜きに失敗したらどうしようと不安になりますよね。ここでは、耳抜きが上手くできない場合の対処法をいくつか紹介しています。耳抜きに困ったとき、ぜひ挑戦してみてください。
1. 首を左右に傾けて耳抜きする
耳抜きが上手くできない場合、前方を見て、首をかしげるように左右に傾けてみましょう。
肩の力を抜き、ストレッチするように、首まわりを動かすと、耳管がひらきやすくなります。首を傾けたまま、顎を引いたり、上にあげたりするのもおすすめです。
水中で空気は上に上がるので、抜けない方の耳を上側にして耳抜きすると抜けやすくなります。
2. インストラクターが見える範囲で数m浮上する
耳抜きがうまくできない場合、少し浮上してから耳抜きをしてみましょう。
その際は、インストラクターに耳抜きできないことを伝えてから浮上してください。不調を感じている方の耳を指差し、そのまま手のひらで”パー”を作ってヒラヒラさせるなど、入水前のインストラクションで伝えられた方法に従いましょう。
インストラクターから離れすぎず、必ず見える範囲で一時停止をし、耳の状態を冷静に確認します。また、急浮上すると減圧症になる可能性が高くなるので、焦らずゆっくり浮上することが大切です。
ダイビングの耳抜きを楽にする便利グッズ
ここでは、ダイビングの耳抜きを楽にする便利グッズを紹介しています。耳抜きを楽にしたいという方は、ぜひ参考にしてくださいね。
ドライイヤーマスク
耳抜きが苦手な方は、耳抜きしやすい「ドライイヤーマスク」を使うのもひとつの手段です。通常のマスクとの違いは、イヤーカップという耳を覆う部分がついていること。
イヤーカップがあることで、耳のまわりに空気層を作ることができます。そのため、耳に水圧がかかりにくく、耳抜きしやすいのが特徴です。
ドライイヤーマスクは、楽天やAmazonなどの通販サイトで購入できます。
オトヴェント
オトヴェントは、鼻でバルーンを膨らませて、耳管をひらく練習をする「自己耳管通気器具」です。主に、滲出性中耳炎の治療に使われていますが、ダイビングの耳抜き練習にもなります。
オトヴェントは、バルーンが圧力を逃すので耳の負担が少なく、安心安全に耳抜きの練習ができます。耳抜きのコツを掴みたい初心者ダイバーや、ブランクがあるダイバーにおすすめです。
耳鼻に不調がある方は耳鼻科の受診を
アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎など、耳鼻疾患がある方、耳抜きに不安がある方は、耳鼻科で相談しておくと安心です。また、花粉症をお持ちの方、小さい頃よく中耳炎になった方、飛行機で耳が痛くなりやすい方も同様です。
鼻が詰まっているなど耳鼻に不調があると、ダイビング中、耳抜きがうまくできず、耳が痛くなる場合があります。事故を回避するためにも、耳や鼻に不調がある方は、ダイビングに行く前に耳鼻科を受診し、対処法を相談しておきましょう。
まとめ|耳抜きのコツを掴んでストレスなく潜ろう
耳抜きは、鼻をしっかりと塞ぎ、全身の力を抜いてリラックス状態で行うことが大切です。そして、浅いところほど小まめに耳抜きをしてください。
陸上で耳抜きの練習をしておくと、耳管がひらきやすくなるので、日頃から練習しておくのもおすすめです。
また、風邪を引いて鼻が詰まっているなど、耳鼻に不調があると、耳抜きしにくいので注意しましょう。この場合、怪我や死亡事故に繋がるので、ダイビングを控えてくださいね。
耳抜きに対する苦手意識がなくして、心からダイビングを楽しみましょう!
アクティビティの関連記事
PC_ART_Recomend