海外旅行に訪れたらやはり外せないのが世界遺産。ミクロネシアに位置するパラオには、国で唯一登録されたロックアイランド群と南ラグーンがあります。ひとくくりにロックアイランドと呼ばれることも多いこのエリアは、世界遺産のなかでも珍しい世界複合遺産に登録され、パラオ旅行の定番スポットともいえる人気の場所です。
ロックアイランドの多くは無人島ですが、それらを囲う海は世界有数のダイビングスポットが点在していたり、エメラルドグリーンの海に浮かぶ珊瑚礁の島、干潮時のみ現れる幻のロングビーチ、天然の泥パック体験ができるミルキーウェイ、クラゲと泳げるジェリーフィッシュレイクなど、魅力的な観光地がたくさん存在します。
ここではパラオの世界遺産・ロックアイランド群と南ラグーンについて、おすすめの観光スポットや楽しみ方をご紹介します。
※記事内1ドル=108円で計算しています。
パラオで唯一の複合世界遺産・ロックアイランド群と南ラグーン
「ロックアイランド群と南ラグーン」が世界遺産に登録されたのは、2012年のこと。世界遺産として正式に認められた理由としては、おもに以下の3点がポイントとなっています。
- マッシュルーム状の島々が紺碧の海に浮かぶ優れた自然美
- マリンレイク(海水が混じる湖)が生み出す多様な生態系
- 2,000年から3,000年前に遡る定住者の岩絵や遺跡
第36回世界遺産委員会にて、「ロックアイランド群と南ラグーン」はパラオでも初となる世界複合遺産に登録されました。同時期に登録された著名な世界遺産として、ブラジル・リオデジャネイロにある山と海の間にある「カリオカの景観群(巨大なキリスト像がある光景)」があります。
世界遺産には、自然遺産、文化遺産、そして自然と文化の両面で評価された複合遺産の3種類があり、「ロックアイランド群と南ラグーン」は世界遺産の登録全体で約20年ぶりとなる「世界複合遺産」として登録されました。
約1,000件ある世界遺産のなかでも複合遺産は38件しかない珍しい世界遺産です(2019年時点)。ほかの複合遺産としては、ペルーの「マチュピチュ」やオーストラリアの「ウルル=カタ・ジュタ国立公園(エアーズロック)」など、著名な世界遺産が多いのも特徴です。
ロックアイランドが世界遺産という点を肌で感じたいなら、ロックアイランド方面のボートツアーやセスナツアーに参加するのがおすすめ。そこで、ロックアイランドに広がる絶景を一目見るなら、きっと、世界遺産に登録されたのもうなづけることでしょう。
ロックアイランドの見どころ・観光スポット7選
それでは、パラオの世界遺産ロックアイランドにある、さまざまな見どころ、観光スポットをご紹介します。パラオに来たら必ず訪れておきたい定番スポットです。
1. セブンティアイランド
青い海の中に、木々が茂ったマッシュルーム型の島々が浮かぶ「セブンティアイランド」はパラオ旅行のガイドブックやパンフレットの表紙にもよく使用される、パラオを代表する絶景です。
世界遺産に登録されているロックアイランドのなかでもひときわ美しいセブンティアイランドは、自然保護区に指定されているおり、船で上陸したり、近づくことはできません。しかし、セスナ機に乗れば上空からその全景を楽しむことができます。
コロール島を発着するセスナツアーの所要時間は40分から55分ほど。セブンティアイランドをはじめとしたロックアイランドの島々を上空から眺めるその体験は、まさに感動体験そのもの。オプションでセスナ機のドアを外すこともできるので、勇気を持ってたくさんの航空写真を撮ってみましょう。
2. ミルキーウェイ
ロックアイランド諸島の中央部・マカラカル諸島の入江にある、乳白色混じりのターコイズブルーの海です。ミルキーウェイを彩る秘密は、ロックアイランドを構成する石灰岩。石灰岩が海に溶け出し、海底に乳白色の泥として蓄積されているため、ロックアイランドのほかのエリアよりも緑に近い海の色をしています。
海底にある泥には保湿、美白効果があることで知られており、取れたての泥を顔に塗れば天然パックの出来上がり。パックをしながら、全身に塗った泥で文字や絵を描いて楽しむのがミルキーウェイの遊び方です。最後は船からダイブして全身の泥を綺麗さっぱり洗い流しましょう。
3. ジェリーフィッシュレイク
「ジェリーフィッシュレイク」は、その名前の通りたくさんのジェリーフィッシュ(クラゲ)が住む湖です。
ジェリーフィッシュレイクに住むゴールデンジェリーフィッシュは、外敵がおらず毒が衰退し、人間にとっては無害です。そのため、数百万匹のクラゲと一緒にシュノーケリングができることから、ユニークな観光スポットとして人気のスポットとなっています。
一時期は気候変動の影響でクラゲが全滅し、ツアーが中断されていたこともありました。無害とはいえ非常にデリケートな生き物なので、扱いには十分に注意しましょう。クラゲたちに溶け込むように泳ぐと、金色に光るクラゲも相まって異世界にいるような感覚を楽しめます。
4. ロングビーチ
パラオの「ロングビーチ」は、ロックアイランドのオモカン島にある”幻のビーチ”のこと。干潮時にしか現れないため、1日に1時間しか見られないことも多々あります。
ツアー当日は、ガイドが状況や時間を見ながらロングビーチが現れるであろうタイミングを調整してくれますが、やはり天候や月齢などに左右されてしまいます。海の真ん中に美しく伸びるロングビーチが見えたら、ラッキーです。
ロングビーチを透明度の海がきらきらと輝く様子は、どこから写真を撮っても絵になります。ロングビーチを背に、思いっきりジャンプ! 後ろに人が写り込まないように順番に写真を撮りましょう。ジャンプショットもガイドが上手に撮ってくれます。
5. カープ島
豊かな森林に覆われた「カープ島」は、周囲に「ブルーコーナー」や「ブルーホール」などの有名なダイビングポイントが点在した小さな島。ロックアイランド内では唯一の宿泊施設「カープ・アイランド・リゾート」があり、ダイバーたちの拠点として利用されています。
世界遺産の目線では、カープ島北部にある「ストーンマネー」がパラオの文化を今に伝える遺物です。500~600年ほど前にパラオで切り出して、約400キロ離れたヤップ島に運ぶ途中で石が割れたか重すぎたかで運ぶのを断念したまま放置されているといわれています。
ちなみに、「カープ島」の名前の由来は、まさしく広島カープからきているんだそう。
6. ウーロン島
ロックアイランドの西部にある「ウーロン島」は、東インド会社の「アンテロープ号」が座礁した場所で、西洋世界にパラオが知られるきっかけとなった島です。救助された船員たちが母国のイギリスに帰国したことで、パラオとヨーロッパの交流がはじまりました。
また、ウーロン島にはパラオ人の祖先として考えられているインドネシアのマレー人やニューギニア島のメラネシア人やポリネシア人が残した壁画があります。
写真に写っているのは断崖絶壁にある洞窟の天井に赤い塗料で描かれたもの。2015年頃まではロープを使って近づくことができましたが、足場が崩れやすいため現在ではボートから見るのみとなりました。
このような貴重な遺跡があることが、ロックアイランド群と南ラグーンが文化遺産としても世界遺産登録された理由です。
7. イノキアイランド
ロックアイランドの中央地帯に位置し、マカラカル島やガルメアウス島に隣接する島、「イノキアイランド」。イノキアイランドという名前は、日本で有名な元プロレスラーのアントニオ猪木さんが由来となっています。
アントニオ猪木さんは、家族やプロレス関係者をパラオに連れて訪問したのをきっかけに、現地の人々との関わりを深められ、現地の地主さんより「パラオと日本の友好の証」として島をプレゼントされました。このようなストーリーもあって、今もなおアントニオ猪木さんとパラオの人々は交流を深めています。
イノキアイランドの島内には小さなビーチがあり、ビーチからラグーンを歩いて回っても15分ほどあれば観て回れるほどのコンパクトな広さです。その島全体にはのどかな雰囲気が広がり、耳をすませば海のさざなみやジャングルに生息する鳥の鳴き声が聴こえてくる、まさに癒しのスポットとなっています。
ロックアイランドを満喫できるアクティビティ3選
一面、真っ青の海に浮かぶマッシュルーム状の島々のロックアイランドでは、さまざまなアクティビティを楽しめます。
代表的なのは、海のアクティビティで人気のあるシュノーケリングとダイビング、そして上空から絶景を眺めるセスナツアーです。
ここでは、ロックアイランドを満喫できるアクティビティの魅力と楽しみ方について紹介していきます。
1. シュノーケリング
シュノーケリングは、水中マスクとシュノーケル(呼吸用パイプ)を装着して、海面から水中を鑑賞するアクティビティです。ダイビングのように深く潜ることはなく、呼吸が苦しくならないので、泳ぎが苦手な方でも安心です。
南国パラオのシュノーケリングでは、色とりどりの魚たちやサンゴ礁、普段目にできないウミガメやマンタといった大物の海洋生物を目にすることができます。ロックアイランドで人気を集めるシュノーケリングスポットといえば、無数のクラゲと一緒に泳げる「ジェリーフィッシュレイク」や、乳白色の泥パックを体験できる「ミルキーウェイ」があります。日本国内ではなかなか体験できないアクティビティのため、世界中から多くの観光者が訪れています。
2. ダイビング
マリンアクティビティの代表格ともいえる、海を潜って水中世界を楽しむ「ダイビング」。パラオは「ダイビングの聖地」とも言われるほど、世界中のダイバーがこぞって集まるダイビング大国です。
専用の器具とライセンスがあれば、水深10メートル以上もの海の中を潜ることができます。泳ぎや素潜りがある程度得意で、海底に広がる美しい世界に興味があるという方には、ダイビングはおすすめです。
数あるロックアイランドのダイビングスポットの中で、特に有名なのは600種類以上の海洋生物がいる「ブルーコーナー」です。そこでは、通称「展望台」と呼ばれるドロップオフの端部分の岩に身体を固定した状態で、生き物や海の中を観察してダイビングを楽しめます。
3. セスナツアー
ロックアイランドを最大限満喫したいなら、上空から絶景を眺めるセスナツアーをおすすめします。パラオでは、セスナ機という専用の小型飛行機に乗って、遊覧飛行ツアーに参加することができます。
飛行時間は、25分・40分・55分のコースが用意されており、それぞれによって見るポイントは変わりますが、どれもロックアイランド全体を見渡すことができます。
上空からパラオを眺めると、パラオブルーといわれる鮮やかな青の海と、大小さまざまなユニークな形をした緑の島々とのコントラストをはっきり確認できます。このように、ロックアイランド全体をゆっくり周遊する空の旅は、忘れられない最高の思い出になること間違いないでしょう。
さらに詳しいセスナツアーの情報については、下記の記事から紹介しています。パラオに訪れる際には、ぜひ参加してみてください。
世界遺産ロックアイランドを楽しむためのアクセス方法と準備
ここではロックアイランドを実際に観光する際に知っておくべき情報や、ロックアイランドの観光スポットの魅力を解説します。
ロックアイランド内の観光スポットへのアクセス
ロックアイランド内にある観光スポットにはツアーボートで移動します。ルートによって所要時間は変わりますが、パラオ観光の拠点となるコロール島から20分から40分ほどです。
基本的にツアー会社を通してツアーへ参加することが多いですが、現地のガイドがうまく周遊ルートを調整してくれます。観光スポットのなかでもカープ島がもっとも遠く、ミルキーウェイがもっとも近くにありますが、観光地ごとの移動時間が長くなりすぎないように合間にランチやシュノーケリングなどを楽しむ行程が組まれています。
ロックアイランドツアーは朝8時から9時ごろにホテルへのピックアップがあり、15時から16時頃にはツアーが終了してホテルまで送迎があるのが一般的です。
ロックアイランド観光には許可証が必要
ロックアイランド方面のシュノーケリングツアーやダイビングツアーに参加する際にはコロール州政府が発行する「ロックアイランド許可証」が必要となります(1人あたり50USドル:約5,400円)。
ジェリーフィッシュレイクに訪れる場合には、「ジェリーフィッシュレイク許可証」が必要ですが(1人あたり100USドル:約10,800円)、これはロックアイランド許可証を兼ねることができます。
さらに確認しておきたい点として、「ロックアイランド許可証」購入した後でも、「ジェリーフィッシュレイク許可証」の購入が必要な場合、別途100USドル(約10,800円)がかかってしまいます。そのため、ジェリーフィッシュレイクへの訪問を検討している方は、あらかじめ「ジェリーフィッシュレイク許可証」を購入しておくのをおすすめします。
これらの許可証は、ツアー代金には含まれていないのがほとんどなので、現地でお金を用意する際には注意してください。
- ロックアイランド許可証:1人あたり50USドル(約5,400円)
※10日間有効、6歳未満は不要 - ジェリーフィッシュレイク許可証:1人あたり100USドル(約10,800円)
※10日間有効、6歳未満は不要
※ロックアイランド許可証と兼ねられる
ロックアイランドの観光に必要な持ち物
パラオの天候では、短時間のうちに急速に風が吹き荒れて、激しい雨が降る「スコール」が発生しやすいのが特徴的です。特に雨季の場合は発生率が高まります。そこで、ロックアイランドを観光する際には、パラオの乾季(11月~4月頃)・雨季(5月~10月頃)に応じて適切な持ち物を準備しておくのをおすすめします。
パラオ滞在中にマリンアクティビティを楽しむのを前提にしながら、以下に必要な持ち物を挙げていきます。
【オールシーズン必要な物】
- 水着
- サンダル
- 長袖の上着
- 長袖のインナー
- 靴下
- スポーツタオル
- 酔い止め
- 日焼け対策アイテム(※)
※2020年4月現在、珊瑚礁に有害な成分を含む日焼け止めは禁止されているため、現地で珊瑚に害のない日焼け止めを購入することが求められています
参考:パラオ、有害成分含む日焼け止めを全面禁止 世界初 – BBCニュース
【雨季に役立つ物】
- 雨具(折り畳み傘やカッパなど)
- レインジャケットやレインパンツ
- カバン用のレインカバー
- 撥水・防水性のある防寒具
- 替えのシャツ
【ツアーによって貸出可能な物】
- マリンシューズ
- ラッシュガード
- ライフジャケット
- シュノーケリンググッズ
- ダイビンググッズ
パラオの気候や気温は日本とはまったく異なり、1日の中で天気の移り変わりが多いのが特徴的です。とくに紫外線の強い日差しとスコールは要注意なので、対策を忘れずにしていきましょう。またツアーを申し込む際には、事前に必要な持ち物とレンタルできる物を確認しておくのもおすすめします。
このほかの雨季・乾季に問わずパラオ旅行に必要な服装や持ち物について、次の記事から紹介しています。ぜひパラオ旅行の事前準備の参考にしてください。
パラオが誇る世界遺産でパラオの自然と歴史を存分に!
世界遺産「ロックアイランド群と南ラグーン」のことを詳しく知っておくとよりパラオ旅行を楽しめます。この記事内で紹介した、ロックアイランドの見どころや楽しみ方、必要な準備について、ぜひ参考にしてみてください。
そして、パラオに訪れた際には、文化と自然の両面で世界遺産に登録されたロックアイランドで、思い出に残る時間をお過ごしください。
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